【区分 】肢体講座 【活動日】2022年10月02日(日曜日) 【時間 】11時20分〜12時10分 【場所 】それぞれの場所 Zoom 【件名 】肢体障害者パソボラ養成講座 【報告者】稲川 【参加者】参加者 14名      講師 櫻井 安沢H、石井、稲川、岩渕、川辺、近藤、酒井H、           杉田、高野、長井、羽鳥、平瀬、三上 【内容】 ・10月例会の中で、会員櫻井さんを講師に 「肢体障害者パソボラ養成講座」を行いました。 障害理解とパソボラ 2022年10月2日 1.障害の理解 ◎一口に障害といっても、障害種も程度もさまざま 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、 外見ではわからない障害  心臓や腎臓など内臓の疾患、知的障害、「発達障害」、精神障害など ◎知的障害は、知能指数など標準からのずれといった相対的な指標  発達障害は、発達のアンバランスなど  障害特性などでは連続的で明確に区分できないこともある ◎障害者手帳や障害者年金 福祉的支援を受けるためには障害の判定が必要  「医療モデル」にもとづくもの ◎障害者手帳には3つの種類「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神保健福祉手帳」 ・身体障害者手帳  視覚、聴覚、四肢体幹だけでなく、心臓などの内部疾患も含まれ、脳性まひなどは  「脳」にダメージを受けたための障害だが、身体障害ということになっている。 ・療育手帳 知的障害 ・精神保健福祉手帳 精神障害や発達障害 2.表記について(障害、障がい、しょうがい、障碍) ◎さまざまな表記がある ・「障害」 法律では漢字で表記されている。 ・「障がい」「しょうがい」 行政では「害」あるいは「障」が適切でないと判断され、  「がい」あるいは「しょうがい」と平仮名で表記されることが多くなっている。 ・「障碍」が使われることもある。戦前は「障碍」も使われていた。戦後、当用漢字表  ・常用漢字表にない「碍」を使わずに「害」が使われるようになった。  なお、「碍」は電線や高圧線を絶縁するためのセラミックの部品の碍子 ◎言葉を言い換えただけでは問題は解決しない。 ・清水貞夫 宮城教育大名誉教授の提起  障害と障害者を分けて考えて、「被障害者」(障害のある人)とするという考えも  障害は軽減したり、なくしたりした方がいいものだが、  「障害者」は否定されるものではない ・国際的な表記は person with disability「障害(属性)のある人」 3.肢体不自由(肢体障害)起因疾患や障害の種類、部位、程度はいろいろ ◎肢体不自由の分類(起因疾患や重複する障害の有無など)  (1)事故による障害  ・切断、頸髄損傷など  ・成長過程での頭部外傷、溺水などの脳低酸素症  (2)先天的な障害・周産期前後の障害  ・欠損、形成異常  ・脳性まひ(CP)など脳の損傷による運動面の障害  (3)疾病などによる後遺症  ・感染症による脳炎後遺症など  (4)進行性の障害  ・筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)など  (5)重複障害(知的障害や病弱なども合わせてもっている)  (6)重度重複障害(発達が初期の段階だったり、障害が重度だったり、  医療依存度が高かったりして独自の支援ニーズがある) ◎「障害児(者)」ということでひとくくりにするのではなく、  一人ひとりのニーズの違いに応じた支援や指導を考えてほしいと思います。  社会モデル 4.障害者手帳と障害者年金(所得の保障)  医療による診断によって障害認定がされ、申請によって福祉的なサービスが受けられる。  障害者手帳:医療による診断によって障害種や等級が決まる  障害年金 「手帳」とは別に所得の保障のために診断によって等級が決まる 5.障害は個性か、障害はなくせるのか(障害の階層的な理解) ◎なくす  ・障害そのものを取り除く  ・障害による困難さを取り除く  ※「不自由さ」はまわりの条件や環境との関係できまる  「機能障害があっても、能力障害を起こさないようにすることはできるし、  仮に能力障害があっても社会的不利をなくすることはできる」  ・障害のことを気にしない、障害を無視する  ※茂木俊彦(2003年)「障害は個性か」   (1942年から2015年)元全障研委員長。都立大学最後の総長)   「障害は属性ではあるが、個性ではない」   「障害は個性だ」誰が言うかによって意味が違ってくる  ※竹内章郎(岐阜大学)マイノリティ(多数派)が使う場合=弱者の問題を   抽象的ヒューマニズムの問題に矮小化(こころのバリアフリー) ◎医療モデル、社会モデル、人権モデル ・WHOの障害概念(1980年)  機能障害、能力障害、社会的不利 ・ICF(国際生活機能分類)(2001年) ・障害者権利条約(=人権モデル)  「合理的配慮」  障害判定がなくても(手帳の取得が無くても)、  障害によって配慮を必要とすることは「合理的配慮」の対象  障害者権利条約を批准するにあたって国内法の整備 →障害者差別禁止法  医学モデルから社会モデルに、そして人権モデルに。 6.UD(ユニバーサルデザイン)  誰もがアクセスしやすいような環境をあらかじめ整えておく ・誰だって、けがをする可能性はある ・誰だって、高齢になれば使う可能性がある 7.肢体不自由者(障害者)への支援の考え方 ・本当のねがい(ニーズ)は何?   表面的なことだけでなく,本当のニーズをつかむことから ・困難なこと、困っていることは何? (1)出力関係 ・文字など見えにくい(文字の大きさ、地の色など) ・マウスポインタが見えにくい ・寝た姿勢でモニタの画面が見えない ・警告音が聞こえない (2)入力関係 ・隣のキーも押してしまう ・キーが離せないので続けて文字を入力してしまう ・同時に2つのキーが押せない ・マウスのダブルクリックが難しい ・マウスが動かしにくい、動かせない ・広範囲に手が動かせない ・マウスは使えるがキーボードが使えない ・動かせるところが少なくてマウスもキーボードも操作できない (3)その他 ・スイッチが入れにくい(パソコン本体及び周辺機器) ・キーボードがすべる (4)楽に使い続けるように」という視点で  ・二次障害を防ぐという意味もある ◎支援について  いろいろなレベルでの支援がある。すべてボランティアが解決できるものではない。  ・福祉制度や行政による支援   日常生活給付用具   リハビリセンターなどでの相談活動(PT、OT、ST)  ・メーカーなどによる支援 OSの「アクセシビリティ」の設定  ・非営利団体、ボランティアなどによる支援  ・民間企業による有料サポート ◎支援方法  まずは、特別な機器やアプリを使わなくても、環境設定での調整  マウス、キーボード、モニタなどの設定で調整 ・「アクセシビリティ」の設定で調整  マウス・キーボードの代替 ・マウスの代用としてテンキーを使う ・キー・ショートカットの活用  参考 例えばhttps://dekiru.net/article/5002/など ・キーボードの代替としてソフトキーボードや音声入力を使う ◎UD製品の活用 ・キーボードの代替  小型トラックボール。大きく腕を動かしてキーボード入力ができない  筋ジスの人でもソフトキーボードと組み合わせて入力が可能。  Bluetoothで接続し、充電式で16グラムという軽量のものもある(Word版に写真) ◎姿勢の工夫  モニタの位置を調整するタブレット・PCスタンド。  大きなモニタを固定するとなると高価だが,  タブレット・スマホであれば安価で、製品も多様。臥位姿勢で使えるものもある。 ◎肘、手を支える ・アームレスト ・キーガード(キーボードカバー) ◎福祉機器について 8.最近の動向 ・視線入力  既存の入力方法が困難な人にも使える入力方法(伊藤史人「ポランの広場」など)  学校やリハビリの現場で導入されてきている。  比較的安価に導入できるが、一方で姿勢保持が大きな課題。 以上 ----- 【決定事項】  Zoomの共有画面を使用し、資料はZoomのチャットでPDFで配布され、  例会後にはファイル形式を変更したものがMLで流れました。 【課題】 【感想】 ───────────────────────────── [管理用:stk221002]